ドル/円相場は、98円台中盤まで上昇する展開になっている。日経平均株価の急落と円高が同時進行する流れが一服する中、改めてドル買い・円売り優勢の展開になっている。6月18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を境に改めて米金利上昇・ドル高圧力が強くなっていることも、円安に加えてドル高を促している。6月13日の93.79円をボトムに、概ね5円近いドル高・円安が実現している。
FOMCをきっかけに、改めて米金融緩和政策の「出口」を見据えた動きが活発化している。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、今年後半に債券購入の縮小、来年半ばには停止を勧める意向を示しており、いよいよ量的緩和第3弾(QE3)の終了に向けてのカウントダウンが始まっている。これは米金融政策環境が正常化に向かうことを意味し、債券市場では米国債利回りが急伸傾向を示している。現在の日米金利差を考慮すれば、100円台回復には何ら違和感のあるものではなく、6月上旬にみられた急激な円高に対する巻き戻し圧力が強まり易い地合になっている。ドルは主要通貨に対して全面高の展開になっており、特に円サイドの動向を考慮に入れなくてもドル高・円安圧力が強まり易い状況にある。
6月23日には参院選の前哨戦と目されている東京都議選が行われたが、自民・公明党の政権与党が圧勝した。「反アベノミクス」、「反自民党」の受け皿としては共産党が一定の躍進を見せたものの、基本的には都民が現在の政権与党を支持していることが露呈された形であり、少なくとも衆院・参院のねじれで政策運営がごたつく最悪のシナリオが実現するリスクは後退している。中国の流動性供給問題などのリスク要因もあるが、特にリスクマーケット全体の地合がパニック化するような事態が回避できれば、円高是正の形でドル高・円安トレンドが継続する可能性が高い。100円台回復の方向でみておきたい。
今後1週間の予想レンジは、97.25~100.00円。